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哲学史入門書読み比べ

ところで、講義の副読本となる哲学史解説本を探しているという話は前に書いた。ゲートに居並ぶのは、次の面々・・・(ほかにもあるとは思うが)

1 甲田烈ほか『手にとるように哲学がわかる本』 かんき出版
2 竹田青嗣編『はじめての哲学史』 有斐閣
3 竹田青嗣『自分を知るための哲学入門』 ちくま文庫
4 西研『大人のための哲学授業』 大和書房
5 鷲田小彌太『はじめての哲学史講義』 PHP新書
6 新田義弘『哲学の歴史』 講談社現代新書
7 貫成人『図解雑学 哲学』 ナツメ社
8 今道友信『西洋哲学史』 講談社学術文庫


いちばん内容的に優れているのはもちろん6。でもこれはむずかしい。最初に読む本ではない。これは普通の意味の哲学史ではなく、「問題史」的な構成。文章も、入門者向けとは思えない難解さにしばしば陥るので、むしろ中級者がじっくり掘り下げて読むと味が出る本。新書で哲学史を、という依頼で書いたのだろうが、「ふつうの哲学史ではつまらない」と考えるところが非凡なところ。でも編集者は泣いたかも(笑い)。

1の甲田烈というのは私の知り合いでまだ若い人。これは東洋思想がかなりのっているのが他と違うところ。その解釈はいまひとつ納得いかないものもあるが、全体としては悪くないかな。でもなんというか、もう少し本の存在として「香り」のようなものがほしい。お手軽ビジネス書のノリの編集だから、そこがマイナス。図書館にあったら読んでもいいという感じ。

2,3,4の竹田・西グループはまあ、やっぱりという竹田イズム。その信奉者でないと採用はできない。4は値段も高いのでだめ(1500円以下にしたい)。2は明らかに大学教科書ねらいの出版なんだが、どの程度採用されているんでしょうかねえ。哲学専門家は竹田の本は使わないと思うんだが。

8の今道のはかなり本格的概説。プロティノス、フィチーノ、それにニュッサのグレゴリウスなんかも載っており、他に比べて古代・中世が詳しい。その反面現代思想はごく簡単。叙述はわりあいオーソドックスな概説講義風。あまりつっこむ場面はない。まあ実際、どこかでの概説講義を起こしたものらしい。

で、教養科目の副読本として使うには5か7がいいと思った。ただ5は、これも鷲田色が出ている感じ。一方、ちょびっとずつ原典を載せているのがポイント。でも叙述としてはあんまり鋭いようなところはない。

結局、私は7がいちばんいいように思った。これはタイトル通り「図解」で、わかりやすさではいちばん。講義の中で、新しい思想家が出てきたときなど、そこを開いて簡単に解説したりする副読本という用途には最適だろう。また、東洋思想もおまけのように最後についており、現代思想にはかなり手厚い。バランスとまとまり、わかりやすさいずれのポイントも及第点。

というわけで、いちおう、『図解雑学 哲学』に決定~~

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