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『世界と生命』に関して

新田の『世界と生命』についてアマゾンのレビューに投稿した。最近、本を買いまくっているので、3000円のギフト券が当たれば本代の節約になる。これからせっせと投稿せねば・・

現象学から存在性の始源へ

この『世界と生命』は、現象学に定位しつつ思考の尖端を切り開いている。存在性の始源へと斬りこんでいく鋭利な意志がそこにある。著者は、現象学運動の本質を、「地平」の思考から、その地平を成立せしめているある「隠れた次元」への執拗な接近として描き出す。そこに読者は、フッサールから後期ハイデガーの存在論、そしてドゥルーズなどへと連なる「差異の生成する場」への思想的深まりを理解することができる。デリダについてはあまり言及されていないが、こうしたポストモダン思想が実は現象学運動の徹底としてあったこともわかるだろう。そして最終的には、西田哲学の「自覚」の論理への接近がはかられ、この見えざる次元を哲学していこうとする。また、クザーヌスやフィヒテなども取り上げられているのは興味深い。そこにひそかに浮かび上がってくるのは、現象学運動に発する現代哲学に通底する、「否定神学的動機」である。現代思想とは、単に「差異の戯れ」を主張するだけの相対主義なのであろうか。そうではなく、否定神学的な「存在の始源性への接近」であるということが、この書を読むと見事に理解できるはずだ。現象学運動という大きな流れを一望に収め、次なる展望へとつなげている傑作である。

800字でまとめるのは難しいんよ。アメリカのアマゾンは無制限みたいで、すごい大論文を書いてる人もけっこう見かけるんだけども・・ でも無制限だとチェックが大変なのかもね。

実をいえば私は修士のころデリダやドゥルーズの「差異の発生としての世界」という思想に異常に興味を持ち、修士論文でも「存在の始源性としての差異化」というアイデアを取り上げた。これは文学畑の人には「??」の世界であったようだが・・現代思想の知識がある有名な教授は、「ポストモダン思想を『始源論』と解するのは正反対である」と批判したが、いま考えると、私の見通しは間違っていなかったことがわかるのである。ポストモダンを「始源なき漂流」と見るのはあまりに浅薄な相対主義的解釈である、と私は考える。ま、私がこのような地方大学に送られたのもその修論で物議をかもしたことの余波だが(結果的には東京を離れたことは正解だった)・・それはともあれ、

上の文章で書いたように、現象学からデリダなどへの思想運動には、はっきりと「否定神学」的なモチーフがある。それはデリダのユダヤ性を持ち出すまでもない。否定神学というのは古くある思想であり、つまり「絶対者についての思考の不可能性」をめぐる思考である。広い意味では禅のパラドックス的表現もその一種である。

特にクザーヌスが出てきたのは面白かった。私の世界観的ヴィジョンもかなりクザーヌスに近いものがあるのだな、とわかった。ドゥルーズのスピノザ論とか、読み返してみるのも面白いかもしれない。

だが、こうしたアプローチからどこまで「気」とか、宗教体験の問題に迫れるのか? ドゥルーズの「器官なき身体」論も出発としては使えるかもしれぬが・・ とりあえず湯浅泰雄の『宗教体験と身体』の身体論はまだ現象学的に不徹底だと思うので、そこをもっと追求する。最近の現象学者、たとえばシュミッツ、アンリなんかの「感情の現象学」も探ってみる。それから、最近のフランス現象学では、キリスト教と現象学を接合しようという試みもあるらしい。たとえば「受肉としての現存在」といったアプローチだ。

しかし私が思い描くのはたとえば、「臨死体験の現象学」とか、霊的認識、リモートビューイングなどの現象に対する思想的意味の追求である。現象学はそのための基礎的なツールである。

またまた読者が減りそうな難しい話になったが、それをいかに平易に語るかということもまた課題である。だが、ことは非常に根源的な話なので、客観主義的世界理解を根抵から覆さなければ霊的世界観への道は開けないことも事実なのだ。たとえば、「科学的に言って霊なんかあるわけない」というような思想的に無知な言葉が平気で流通しているような現状があるわけで(まったく思想的訓練を受けていない科学者が、「何か現実か」について何ごとか言えると思っている、思想的問いの軽視)、哲学的な「根底的問い」の意味をもう一度掘り下げねばならない。とはいってもこれは、現在の哲学が一種の言語ゲームに陥りがちだという状況への批判とともに行うものだが。

さて、本のリストの方で、竹田の現象学本を星三つに下げることにした。これは、入門書としてこのようなものが広まるのは危険だという考えからである。実際、「現象学に従えば、すべての意味はこの日常生活の世界の中にしか見出せないのである」などという言葉を聞くと、さすがの私でもちょっとブチ切れる(笑)。

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