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2004.08.01

太極拳の話

このまえの「???」ビデオだが、太極拳に詳しい人に聞くと、アメリカの太極拳にはレベルの低いものが多いそうで、そのビデオも勘違いビデオの可能性が高い、ということであった。けっこう高かったんですけどね・・ これに懲りて、以後は中国のもの一本にしようと思った。

一言説明しておくと、太極拳にもいろいろある。伝統的には老師について習うスタイルの武術で、これには楊式、陳式、孫式、呉式、武式、和式などの流派がある。このうち楊式をベースに、中国政府が保健向きに改定したものを「制定拳」といい、日本で最も普及している「簡化24式太極拳」はこれにあたる。さらに48式、88式、32式の剣がある。また中国政府は体操競技のように表演の美しさで採点する競技形式を始め、このために総合42式競技套路が作られた。また楊式、陳式などの各伝統拳もそれぞれに競技套路が作られている(「套路」とは一連の型を組み合わせたものである)。中国はこの武術競技を北京オリンピックの正式種目にしようとしているのだが・・(つまり金メダルが多量に期待できる。アジア大会では既に採用されている)。

つまり今の太極拳は、保健向け、競技向け、また伝統的な武術としての太極拳、の三つに大別される。保健・競技むけの太極拳は、武術的要素を薄め、型の美しさを重視するので、武術の立場からはこれに批判もある。が、現在の太極拳教室のほとんどは保健または競技向けの太極拳である。日本で、武術としての太極拳を追求できる場所は、ないことはないがかなり限られている。日本では、24式から入って、そのあと48式、32式剣、42式と進むのがだいたい定番である。伝統拳では楊式、陳式の套路くらいは大都市ならけっこうやっているはずである。

まあそこまで日本人が武術としての太極拳を極めようとしなくても・・気の武術をやりたいなら、合気道でもやったほうがよい師匠に出会える可能性が高いだろう。私はもちろん、武術なんぞまったく追求していないので、かまわないのだが。あまり神秘的なことは追求せず、運動不足解消ということでさしつかえない。それでも「気」くらいはめぐらすことはできる。断っておくが「気」などというものはまったく神秘的なものではないので、誰でもトレーニングをすれば感じることができるものである。気功も太極拳も、気という科学的測定が不能なものの存在を前提にしているが、そういう公理系のもとではまったく合理的に理詰めにできているのであって、曖昧模糊とした悪い意味の神秘主義はまったくないのだ。全部それは「技術」である。こうやればこうなる、という法則性にもとづいているのだ。しかし、一般的な太極拳の教室では気などは教えないので、気に興味があるなら気功を習った方が早いと思う。

去年は植物園での散歩が運動の中心だったが、こう暑くては・・もっぱら室内で太極拳をするのが最近の運動になっている。ひととおり、48式、42式、32式剣をやり、そして楊式伝統套路(VCDのマネ)である。といっても剣など振り回しているスペースはないので、CDプレーヤーのリモコンで代用(^^; いや、このプレーヤーは安くないものなので、リモコンもずっしり重くてちょっと長めにできているのでいいのです。好きなのは32式剣と楊式。48式と42式は、楊式以外の動きがいろいろ入っているので、けっこうむずかしい。別に大会に出る気はないし・・どうも総合42式とかそんなに好きじゃない。忘れないようにとりあえず時々やっているが・・ 教室でも42式は無視して、剣中心になっている。

中国のVCDは面白いので次々と買いまくりそうな予感・・私の中国語でも、「右手を前に」とか「もう一度やってみましょう」くらいがわかれば、あとは映像があるのでなんとかなるのである。この、なんとかなることがわかったのが大きかった。文字に頼らず音のインプットを重視した勉強法が功を奏した形である(もう十数年前の話だが)。実際にはなかなか見られない呉式、武式などのVCDも容易に手に入るのだから、けっこうな時代である。

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