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楊式太極拳ビデオ・DVD・VCD

ここで覚書的に、楊式太極拳についてこれまで参考にした映像を紹介しておこう。これは、そういうことに興味がある人が検索で見つけることを期待した情報ページである。興味のない人はとばしていただきたい。

●「楊式太極拳」 周佩芳 BABジャパン VHS1本 日本語

入手しやすいのはこれ。周佩芳さんはなかなか美人の女性である。太極拳は端正で、88式などやった人には入りやすい。套路は八十五式である。ただこの套路は一度正面から演じるのが映っているだけで、分解して教える(分解教学というが)は入っていない。あと、基本功のようなものと、楊式競技規定套路が入っている(こちらは背面からの演示がある)。なので、値段(税抜き4500円)のわりには分量が少ないという印象。見るだけでは細かいところがわからない。

●「楊式太極拳伝統套路八十五式」 李正 斉魯音像 VCD6枚組(中国語・字幕なし)

覚えるにはいちばんこれが役に立った。套路は八十五式である。ちょっと動作に独特なところが少しあるが、それもまたなかなかわるくない。1枚目は正面演示と分解教学、2~5枚目が分解教学、6枚目は背面演示である。つまり説明が4時間半! さらに、型の攻防上の意味や、力の使い方なども教えているので、情報量は随一。数個の型を連続してやるのを何度も練習してみせるので、これが覚えるためにはとても有効だ。中国語もわりと聞き取りやすい方なので、多少中国語がわかる人には第一のおすすめ。自分で動いてみながら三回くらい通して見たら、ほとんど覚えることができた。李正先生は40代くらいのおじさんである。弟子が一緒に登場している。値段は4800円だった。

●「楊氏太極拳」上中下 楊振鐸 人民体育音像 DVD3枚組 (音声・字幕とも中国語と英語)

楊振鐸先生は、楊式太極拳を大成した楊澄甫の三男なので、「これぞ本場」のきわめつきである。その演示が見られるということが最大のポイント。套路は百三式であったが、これは動作の分け方の違いで、八十五式とほとんど同じである(太極拳は本来はっきりした切れ目というのはないが、どこで切って数えるかによって多少数が違ってくるということである)。李正先生とはわずかに動きが違う箇所があるが、ほとんど同じである。楊振鐸先生は60代くらいに見える(実際はどうか知らない)。いかにも大家らしい鷹揚な動きという感じ。分解教学は動作が中心で、攻防的なものとかは少しだけ。全体演示は孫?らしき楊軍さんという人がやっているが、子どものような顔なので実際の年齢不詳(20~30代?)。振鐸大先生の動きはちょっとまねしようと思ってもできにくいが、楊軍さんのは我々が手本とするのにちょうどいいような端正なものである。このDVDはオールリージョンで日本のプレーヤーで再生可能。英語音声吹き替え、また英語字幕もあるので、中国語はできないが英語はわかる、という人は第一の選択になるだろう。値段は5800円であった。VCD版もあるがこちらは字幕はない。楊振鐸先生の中国語は聞き取りにくいので字幕つきのDVDがおすすめ。

●「108式伝統楊式太極拳」 崔仲三 北京体育大学音像(広東福光制作) VCD4枚組 中国語(字幕なし)

崔仲三先生は楊式では北京の第一人者であるらしい。眼鏡をかけたちょっとマジメそうなおじさんである。この一〇八式は、上の三つがだいたい同じだったのに対し、ちょっと違いが多い。つまり、ところどころ完全に違う動きがはさまったり、置き換えられている部分があったりする。もちろん伝統拳には「こうでなければならない」というきまりはないので、これはこれで完成しているものである。しかし字幕もないし、第一の選択にはならないだろう。上の八十五式を完全にマスターしたら、ちょっと違うスタイルでやってみようか、という時に興味が向いてくるものである。全体演示は弟子らしき女性がやっている。先生ではないのはあれだが、けっこう美人なのでよしとしよう。それにしてもこの映像、一部はすごい強風のなかで野外撮影されていて、服がはためいているところがある。これは李正先生の全体演示でも強風だったりしているが、このへんがちょっと低予算制作を感じさせる・・ このVCDの国内価格は3800円であった。

●「楊式太極拳81式」 李徳印 中国人民解放軍音像(広東福光制作) VCD3枚組 (中国語・字幕なし)

李徳印さんといえば日本の太極拳界では有名である。その楊式とは? と思って買ってみると、意外なことに、動きが楊式というより制定拳に近いものであった。套路の順番も八十五式とはちょっと違い、上の一〇八式の要素も一部入ったりしているらしい。これは伝統套路をもとに新たに改変して作った新しい套路なのであろうか? すでに88式があるので、この套路がどういう位置づけのものであるかよくわからない。というわけで日本の愛好家には「こういうものもあるのか」というものだろうが、もちろん共通のところもあるのでそのへんの李徳印さんの説明を聞くことは無駄ではない。これも演示は女性がしている。どうも中国でも、映像にするにはある程度「ルックス」も求められるということであるらしい。たとえば呉阿敏さんなんかアイドル顔で声もかわいいのである・・いや、それはともかく、もう一つ面白いのは、なぜか、背景が山と湖というきれいなセットを作って撮影されているのである。これはこのシリーズの共通の趣向らしく、ほかのVCDでは紅葉の山と渓谷だったりする。ちなみに値段は3枚で1980円と安い! 李徳印さんには「楊式八十八式」というVCDもあるのだが、これはあまり買う必要ないのではないかと思う。

Taijiquan, Classical Yang Style Yang Jwing-Ming YMAA Publication DVD (音声・英仏中、字幕・英西仏など)

アメリカでかなり勢力のある太極拳の団体が作ったものだが、どういうものかと思って買ってみた。ヤン・ジンミンは台湾出身の中国人である。収録4時間に及び、太極気功や基本功など多数のコンテンツを含む意欲作である。で、その套路のほうだが、見てかなり驚いた。特に、途中で奇声を発して発勁したのにはのけぞった。これって陳式とのミックス? という感じだった。一〇八式で、型の名称はたしかに楊式と同じだが、動きとしては、上に紹介したどの映像とも大幅に違っている。もちろん伝統太極拳に正しい、間違いというものはないが、この太極拳は、楊式をベースにしているものの、他の流派も取りこんで独自に発展したものではなかろうか? と思われた。「ふつうの楊式」とはあまりに違うのでとてもマネはできない。太極拳にもいろいろある、ということはわかるが、中国においてスタンダードな楊式でないことはたしか。あくまで「参考」であろう。DVDはオールリージョン。価格は30ドルくらい。
なお、アメリカの太極拳ビデオはもう一つ買ってしまったが、それについては「あまりといえばあまり」のものなので、ここでは思い出したくない・・ので、あえて書かず。太極拳は中国のものだけで十分である。

なお八十五式のテキストとしては、日本語なら、笠尾恭二『太極拳技法』(東京書籍)、中国語なら、傅鐘文『楊式太極拳』がある(英訳もある)。中国語ではほかにもたくさんある。VCDは、日本のDVDプレーヤーで再生可能。

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Comments

いうまでもないが、伝統楊式の場合、教える人、団体などによって少しずつ細かいところが違っているのは当然であって、上のビデオももちろん細部の違いがある。したがって、教室などで習っている人は、なるべく教わっているものに近いものがいいわけだが、それは買ってみないとわからない。私が行っているのは「全日本太極拳協会」(中野春美会長)系の教室だが、そこで教えているものは、BABジャパンのビデオ、それに楊振鐸老師のDVDのものが近いと思う。楊振鐸老師は103式なので違うようだが、実質的には同じだった。李正老師のはちょっと違う。というわけで、私は今のところ、楊振鐸老師のDVDをメインにしている。楊家直系であるし、これをスタンダードと見なしてもいいのではなかろうか。しかし李正老師のVCDもタメになることが多数あるので、参考として持っておくといいと思う。この二種類があれば十分ではないかなという感じだ。

傅鐘文『楊式太極拳』には、中野春美氏による日本語訳がある。全日本太極拳協会発行。同協会は東京都港区浜松町にある。

全日本太極拳協会本部
TEL 03-3437-3991
〒105-0013 東京都港区浜松町2丁目10-10 


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