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2005.05.28

『死後体験II』について

 ひきつづき『死後体験II』を読んだが、いやこれもかなりのぶっ飛びですね。もちろん体験そのものとしてはリアルだと思う。そもそも私の世界観では、「現実」とはフォーカスのあり方によって成立するものなので、現実と幻想との違いは、それがどの程度にシェアされているかという程度の問題にすぎないのだが。最高の現実とは、私たちがブッダになったとき(完全な覚醒に至ったとき)に知る宇宙の姿であるだろう。それにしても、地球のコアにある結晶と非物質界にある結晶を結ぶだの、まるでハリー・ポッターみたいな世界である。そういうのが嘘くさいと思うヒトは、「もしかすると本当かもしれない、という特典つきの傑作ファンタジー」として読むことも可能だろう。しかしこういうものが読まれることは「宇宙の広大さ」へのイマジネーションを刺激するという意味でいいことであるだろう。世の中には、世界の存在構造については学校で教えられたことだけを信じているというクソマジメでありながら、そういう限界内で理解できる限りに「覚醒」や「悟り」などを薄めに薄めて理解しようとしている人も多い(さらにそれをもっともらしく人に説教する人までいるが)。とにかく、クソマジメはいけません。宇宙とはなんだかよくわからないものであって、「俺はよくわかっているぞ」などと本気で言っているのは正気ではない。そういう人が精神科に行かず、むしろ精神科の医者がそんなことを言っていたりするこの世の中はいかに狂っているかということだ。ま、とにかく、このブログも「クソマジメ人間お断り」の世界である。「ぶっ飛び大好き人」だけ見ればいい。(クソマジメ人間を説得する努力をくそまじめにするほど私はクソマジメではないのである)

『死後体験II』の話はすでに「死後」のことではなくて、意識というものが目もくらむほどの超階層構造をしているということが書いてある。それを一歩ずつ探索するというアドベンチャー物語というわけ。これはたしかにおもしろくないわけはない。自分で実際にやってみればもっとおもしろいだろうが。ただ著者もはっきり言っているように、ヘミシンクで体験することが、ただちにその人の霊的な発達と直結しているというわけではないらしい。すべての人がこういう体験をする必要はないだろうが、この前も書いたように今の人類にはある程度こういう人々が存在することが必要だ。それにしてもこの意識のスーパー・クラスターをちょっとかいま見ただけでも本当に頭がくらくらしてくる。高次意識の世界とはなんと圧倒的なものだろう。ちょっと光を見たくらいで「悟った」などとほざいているのがいかにバカであるかよくわかる。地球人が宇宙の究極を知るなどということが本当にできるのだろうか。それは実に途方もないことである。今までにそういう場所に達したという人間は、実は地球人ではなかったのかもしれない。

それにしても今度の本では、モンロー研究所というものが何なのかがさらにはっきりとしてきている。私の印象だと、一昔前は宗教組織が果たしていた役割に似たものを、現代的に創造しているという感じだ。宗教というのは要するに次元間の道をつけることだ。「こういう道を通ればあそこに行ける」ということである。それがホンモノであるためには、「向こう」との共同作業が必要である。これはぶっ飛びでもなんでもなく、しごくまっとうな話である。『死後体験II』では、モンロー研究所とかいろんなプログラムなどが「向こう」とのコンタクトによってできてきていることがかなり示されている。「向こう」にもモンロー研究所の非物質バージョンがあるそうである。これと似た話は、神社やお寺などにも非物質バージョンがあって、実は本家はそっちの方なのだという話を読んだことがあるのだが、これもモンロー研と宗教との類似を物語っている。

つまり宇宙は意識のスーパー・クラスター構造であること、そして、その階梯の上位にある存在(部分意識体)と、下位にあるものとの間には交流があり、上位のものは下位のものを常に指導し、全体の調和をはかっているということだ。『プロティノス全集』にはこれとほぼ寸分ちがわぬ宇宙モデルが叙述されている。それが真理のある反映であるということはますます疑うことができなくなっている。

私は、これから必要なのは、(ウィルバーなどが主張するような)「東洋の霊性と西洋の心理学との融合」などではないと思う(私はそれほど心理学を評価していない)。むしろ、新プラトン主義のルネサンスであり、神秘哲学的宇宙ヴィジョンの復興であり、それが広範な意識探求の経験とむすびつくことであると思う。私は、新プラトン主義を基軸に据えつつ、そこから仏教(特に唯識)やキリスト教、ヨーガなどの霊性をすべて統一的に理解することは十分に可能であると考えている。そういうものが地球人の「基礎的教養」となる時代がいずれ来るだろう。

ただ思ったけど、なぜこの坂本氏の本がブレイクしたのかなあ? だってモンローの本はもうずいぶん前から訳されているが、それほど評判にはなっていなかったはずだが。坂本氏の本のぶっ飛び程度のものはモンローの本にもいっぱい出てきているわけだし、グロフのトランスパーソナル心理学だってこの程度の体験はばんばん出てきているんだがね。マイケル・ニュートンだってぶっ飛びぶりでは負けていないんだが。やっぱり元ソニーのエンジニアていうことで、「こっち系」の初心者にアピールしたんでしょうかね。

4892954659「臨死体験」を超える死後体験II - 死後世界を超えた先は宇宙につながっていた!
坂本 政道


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