瞑想ヨーガの本
ところで、綿本彰『瞑想ヨーガ入門』。これは名著です。これはかなり本格的にヨーガの本質、つまり瞑想によって覚醒を得る道としてヨーガについて語っている。それがまた実にわかりやすく、またヘンにうさんくさいところもなく、神秘体験にのめりこみすぎるところもなく、いろいろ経験した上でバランスを見出すことができた人だということがわかる。まあ、本格的なヨーガ紹介といっていいだろうし、それも原理、哲学だけじゃなくて実践的にもかなり瞑想のやり方が出ていて、よい瞑想をするためにヨーガのポーズや呼吸法によっていかに身体を調えるかという視点も詳しく書いてある。呼吸についても、別に紹介した『ヨーガ式呼吸レッスン』よりもさらに深いことが出ている。というわけでこれはただならぬ本。参考になるところが多々あった。もちろん瞑想ヨーガの本はこれまでにもいくつかあったのだが、これほどまでにこなれて書けている本はなかった。オウムのサリン事件以来10年、あの当時、壊滅的打撃を受けたかに見えた日本のヨーガ界も、ついにこういった本が出るまでになったかと思うと感慨なきにしもあらず、というところか。高岡英夫の『DVDでゆる体操』以来のことだが、「超おすすめ」とはっきり言ってさしつかえないだろう。女性受けを意識した「カリスマヨーガ講師」というだけではない。この人、なかなかわかっている。わかっていつつ、なおかつ女性たちにアプローチしうるソフトな表現法ができるところは、江原サンにも似てますかね。
もちろん、綿本サンが「悟っている」なんてことを言っているのではない(そういう言葉はめったやたらに口にするべきではない)。ただ、下に紹介する本山氏なんかはあたりまえのようにできてしまうようなこと(だから本山氏の本には書いてないわけで)が凡人にはできなかったり、間違えてしまうのだが、綿本サンの本はそういうところがすごく詳しい。なかなか本ではわからない微妙なコツのようなものをかんでふくめるように書いているというところに価値がある。いままでいろいろ瞑想にトライしていて、どうしてもうまくできなかったというような人にも特に向いている。
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『瞑想ヨーガ入門』は入門向きだが、私は次の本もなかなか気に入っている。これはもうちょっと高度なので、中級向きであろうか。(ただそういう中級向き技法も、綿本サンが書いているようなごく基本的なことができてはじめて意味を持つわけだが)
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さらにもっと上級のものは次のようなものかな。
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なお、このブログは、あくまで一般読者向けのものである。私が、他の誰も知らないような奥義の書いてある書物を知っており、そういう情報がここで開示される、なんてことはない。そういう期待はしないように。上の三冊でも物足りない、という人はまあご自分で探してください。ただ、あまりにのめりこむのはどうか。綿本サンが書いている「柔」の心というものが、そういうマニアックな探求の姿勢においてはやや忘れられがちになりそうな気もする。