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パルジファル

最近見たDVDの中で、特に良かったのはメトロポリタン歌劇場(レヴァイン指揮)の「パルジファル」である。ご存じワーグナーの最後の作品。よくシュタイナーが「神秘劇」ということを言っているが、いまこの世にある作品の中でもっとも「神秘劇」のコンセプトに近いのはこの「パルジファル」であろうと思う。

「パルジファル」は長らく、ジーバーバーグ監督のオペラ映画仕立てのものに親しんでいたが、こちらレヴァインのはきわめて正統的演出。むかしLDで出ていたもので、最近になってDVD化されたのだが、実はこちらを先に見るべきであった(といっても見られなかったわけだが)。台本はよく見ていないがたぶんこっちのほうがワーグナーの指示により忠実なのだろう。「そういうことだったのか」と初めてわかった部分がけっこうあるので、ジーバーバーグのはそこをどのように変えたのか、ということもわかったのである。それより、特に音がよいのでびっくり。DVDなら音が良いのは当たり前だということは決してないので、中にはダメな音のDVDもあるのだが、これはほんとにCDでもなかなかないくらいの見事な録音レベル。また歌手もいうことない。ジーバーバーグ版ではアンフォルタスに「?」が残ったが、こちらはアンフォルタス役はヴァイクルであるので完璧である。

スピリチュアル方面に関心のある人は、ワーグナーに入門するのに「パルジファル」から入ったりする。中にはそもそもこれが最初のオペラ鑑賞だ、なんて場合さえあるが、はっきり言ってこれは邪道である(実は私もその邪道の口であるが)。ワーグナーなら「タンホイザー」や「ローエングリン」から見ればよいし、オペラというならまずモーツァルトかプッチーニとかあるからだ。「パルジファル」から入っちゃうなんてコアもいいところである。しかしどうも見ていると結構そういう人がいるのだ。それもあながち批判はできないだろう。というのも、このような「霊的な世界への魂の憧れ」というものをオペラにした、などということは空前絶後だからだ。これにもっとも近いものといえば同じワーグナーの「ローエングリン」だろうけれども(私は5,6年前くらい、ローエングリンの第一幕への前奏曲のテーマを「私のテーマ曲である」と公言していた。つまり、私の魂の気分をもっとも的確に表現している音楽だ、という意味である。いまはそうでもないが)

下には日本語版をあげておくが、私が買ったのは国際版である。英、仏、独などヨーロッパ語と中国語の字幕がつき、リージョンフリーになっている。値段は日本語版の半額くらい。とにかく日本語版のオペラ・バレエDVDは高い。英語字幕でなんとかわかるなら、リージョンーフリーDVDプレーヤーに投資しても海外版を買うのが正解といえる。

B000793AOMワーグナー:舞台神聖祭典劇《パルジファル》
レヴァイン(ジェイムズ) ワーグナー メトロポリタン歌劇場管弦楽団 メトロポリタン歌劇場合唱団
ユニバーサルクラシック 2005-02-23

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それからジーバーバーグ監督の映画版はこちら。リージョンはオールのようで日本製プレーヤーでも再生できる。問題は字幕の英語がかなり時代調というか、古風で難解なこと。しかし「パルジファル」といったら絶対におさえておくべき名作であることにかわりない。なんというか独特のミステリアスな雰囲気は何とも言いがたい。特にクンドリーの描き方が秀逸。

6305131112Parsifal / (Sub)
Urban von Klebelsberg Hans-Jürgen Syberberg
Image Entertainment 1999-03-30

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