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20世紀のシンフォニー

磯田健一郎『ポスト・マーラーのシンフォニストたち』を入手。これは、20世紀の交響曲の紹介本である。20世紀といっても無調で無定型の不可思議な音塊で音楽と称しているものではなく、わりとふつーに聞ける音楽もあるぞ、というコンセプトである。シベリウス、ヴォーン=ウィリアムス、ショスタコーヴィチになぜかアイヴズが大きく取り上げられていて、それからエルガーやニールセン、等々で伊福部昭、吉松隆まであるという趣向。絶版だが欲しかったのでマーケットプレイスで定価より高く出ていたのを買ってしまった。送料併せて1600円近くである。で、書き方はかなり軽めのタッチで、全部が網羅されているわけではないので、まあ定価の980円なら妥当だろうが、1600円出すにはちと高いかな、という印象もある。

私はショスタコーヴィチもヴォーン=ウィリアムスも少し聞いてみたがどうもちと相性が悪い。ヴォーン=ウィリアムスの「田園交響曲」あたりは悪くないけれども。この本を見て聴いてみようと思ったのはニールセンとスクリャービン、伊福部昭あたりだ。

私は、音楽とは基本的に「存在感覚」であり、また「宇宙感覚」でもあると思っているので、同時代の人間がどのような表現をしているのか、それにはやはり興味があるのだ。

最近はエルガーの一番にハマり気味で毎日聴くが、これには魂の高貴さといったものがある。まさに「成熟」とはこういうことを言うのだ、という感じである。私はハンドリー盤なのだが、ナクソスのディスクも三つ星になっていたので、それをあげておく。

B00005F475エルガー:交響曲第1番
ハースト


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それと、スピリチュアル系な現代曲ということならば、私に思い浮かぶのは黛敏郎の「涅槃交響曲」である。これは傑作である。しかも、なかなか聴きやすい。鐘の音が幾重にも交錯するところなどめくるめく「インドラの網」の世界を連想してしまう。

見渡してみると、メシアンはじめ、最近のタブナー、ペルトなどはキリスト教に回帰しているし、ラウタヴァーラにはどこかフィンランド的な「自然」が見える。結局は「魂の根拠」を自分の中に見出すしかない、ということなのだと思うが、それならば、「涅槃交響曲」のように「内なる東方」へ向き合うことは日本人にとって避けて通れないことだと思う。その意味でこの作品は突出していると思う。岩城宏之のディスクは安いが、なかなかけっこうな演奏である。

B000066ILB黛敏郎:涅槃交響曲
岩城宏之 東京都交響楽団 東京混声合唱団


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