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最近の本、マンガ

少し、本の話を。

池田清彦『さよならダーウィニズム』。ダーウィン進化論批判の本。ダーウィン進化論についてはヒューストン・スミスもいろいろ書いているが、これは生物学者によるものというので読んでみた。ダーウィニズムとは実体論であるとして、著者独自の「構造主義生物学」の視点から批判している。構造主義進化論だということで、今西錦司はその先駆だという。これはなんと二日間の口述をまとめたものということで、おそるべき促成栽培の本である。そのためいささか軽いし、どうも構成上よくわからないところがあり、たぶん同じ著者の他の本を読んだほうがいいのだろう。しかし基本的なアイデアとしてはおおむね納得できるものであった。実際、実体主義を抜け出している自然科学者などはほとんどいないから、そういう視点から進化論批判をしているというだけでも貴重である。ただ、構造主義とはいっても著者のパラダイムはどうやら丸山圭三郎あたりにとどまっているらしく、その点では物足りない。今西錦司の『生物の世界』にはモナドロジー的宇宙観があったが、そういう存在論的な問題には気がついていないらしい。まあ、科学者にそこまで求める必要はないだろうが。

また、科学の「真理性」についてもその相対化を論じている。これは、村上陽一郎はじめ科学哲学をかじった人には既に常識化された論点であるが、なかなかわかりやすいので啓蒙的にはいいであろう。科学論を論じたほかの本などもいいかもしれない、ということで著者の科学論、科学主義批判関連の本はいくつか取り寄せてみることにした。

著者は科学に潜むプラトニズム、つまりイデア説的発想について指摘している。DNA信仰というのはイデアの実体化されたものではないかというのだ。それはその通りだろう。ここで、「新々プラトン主義」を標榜している私が一言イデアについて言っておくと、私は、プラトンのようにイデアを永遠不動のものとは考えていない。それはむしろ、シェルドレイクの「形態形成場」的に捉え直されるべきもので、つまり、一定の相対的安定性を持つに過ぎないものであり、その形態形成場は各個体の経験からのフィードバックを得て変動してゆくものである。これは実は唯識の考え方に近いものである。したがって、私のいう新々プラトン主義とは、プラトン主義がイデアの固定化という方向へ行きすぎたものを、唯識的な「フィードバックによる漸進的変化」が存在するという形へ修正するということを含んでいる。こうしたアイデアの一端は既に『魂のロゴス』にも書かれている。・・それにしても、そろそろ新々プラトン主義を前面に出した次の本に着手したいところである。夏もけっこう休んでしまったが。

4062581205さよならダーウィニズム―構造主義進化論講義
池田 清彦


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シェルドレイクの形態形成場説についてよく知らない人には、喰代栄一『なぜそれは起こるのか』を勧めておきたい。さらに同じ著者による『魂の記憶』は、シュオルツの仮説を扱ったものだが、これは私が提唱している「意識場仮説」とかなり近いことを言っているもので注目に値する。

4763181351なぜそれは起こるのか―過去に共鳴する現在 シェルドレイクの仮説をめぐって
喰代 栄一


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さて、次の本はうってかわって、二ノ宮知子『のだめカンタービレ第13巻』。話の展開はゆっくりだが、孫Ruiがパリに登場したり、また千秋はついにあるオケの常任に就任することになったが、そのオケがとんでもないもので・・というような話になる。それにしてもこれ、全然クラシックを知らない人が読んでいるようだが、面白いんでしょうかね? 初めのころと比べて、ある程度の知識があったほうが楽しめるという要素が増えてきているような気がするが・・ それにしても千秋はややのだめに惹かれてきている模様・・以前のように「彼女」と言われてもムキになって否定しなくなったし、まあこういった二人の関係の微妙な進展ぶりは、ラブコメの王道路線といったところでしょう。ちなみにこの本、いまアマゾンで売り上げ4位だそうで・・峰竜太郎の絵が描いてあるしおりがオマケについている。それから千秋のCDデビューとか、キャラクターブック、セレクションCDブック、来年用ののだめカレンダーの予約販売など、キャラクターグッズも盛大に発売されているようです。千秋のCDを本当に演奏している「影武者」はどこのオケと指揮者なのか知りたいです。でもクラシック初心者にいきなりブラームス第一番はどうなのだろうか。

4063405605のだめカンタービレ #13 (13)
二ノ宮 知子


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次にはこれ、岡野玲子の『陰陽師12』である。
どうなのだろう? 漫画版「陰陽師」の人気は一時よりも落ちているのかもしれない。陰陽師の漫画版については以前にも書いたが、かなり霊的世界が「リアル」に描かれていて、それはどうやら岡野玲子自身にある程度の霊的感覚があるらしい、ということは、既に知っている人は知っていることだろう。第7巻からは原作を完全に離れたオリジナルとなってすごいワールドに突入していたのである。そのあたりの7~10まではひじょうにすごい世界だったが、私もこの前の第11巻になると少しよくわからなくなってきた。この最新の巻も第11巻の延長線上のようである。はっきり言うと、ふつうのマンガのつもりで読み始めると、何がなんだかさっぱりわからない。ストーリーもほとんどあってなきがごときものになってきた。面白いかどうかというと、少なくともふつうのマンガ、物語というレベルで「面白い」とは言いがたいのである。何か読んでいて異常に重いものがある。これは発売すぐに買ったのだが、そんな重い波動を感じていままで読むことができないでいたが、今度半分くらい読んでみて、やっぱり疲れた。まあこれは、岡野玲子が、既に私の理解できない世界に突入しているということなのかもしれません。しかしそれなら、ふつうにマンガを読む大多数の読者も置いて行かれているのではないかと思う。絵そのものはすごい。何か、時間の感覚がほとんど喪失しているのではないかという表現に感じる。まあ、「陰陽師」読んだことがない人はこの巻からは入らないほうがいいだろう。すぐにコアなものへ行こうと7巻から読んだりすることもやめて、すなおに第1巻から読むのが正解。

459213222X陰陽師 (12)
岡野 玲子


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ちょっと「魂的な感覚」の漂っているマンガを探している人、水樹和佳子の『月虹――セレス還元』をお勧めいたします! それが良かったら、大作『イティハーサ』を読みましょう。そこで、私がひそかに書いている「SH版イティハーサ最終章シナリオ」を読んでくれれば、言うことありません。

4150306613月虹―セレス還元
水樹 和佳子


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さらに、おまけ。最近買ったCDの中で「当たり」だったもの。ウォルトンのヴァイオリン協奏曲・チェロ協奏曲のカップリング。なかなか聴きやすく新鮮な響き。

B000026CUAウォルトン:ヴァイオリン協奏曲/チェロ協奏曲
ドン・スク・カン


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