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2005.10.25

身体論路線

また身体論路線への興味が再燃。

4341018310自律訓練法
佐々木 雄二


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一冊目は自律訓練法。佐々木先生は学会で会ったことがある。なかなかイイ人である。穏やかで、患者思いのお医者さんという感じである。自律訓練法というのはシンプルであるが、有効な技法として知られる。CDも出ているが、本だけでもできそうだ。つまりはイメージ法である。自律訓練法には基本メニューと、その人ごとのいわば特注のメニューを作れるそうだが、その特注というのは要するに「アファメーション」と同じことである。きわめてリラックスした状態でポジティブな言葉を発し潜在意識から変えていくというやり方である。それが、否定形ではいけないとか、現在形でなければいけないというのが、いわゆる精神世界で言われていることと全く同じである。ダイアーなんかもよく言っていることだが、基本原則というのは同じなんだと思った。ともあれ自律訓練法とはどういうものかを知ってやってみようというのにはこの一冊で十分だろう。イメージ法が自分では出来にくい人は佐々木氏の作ったCDを利用すればよい。

4062572230姿勢のふしぎ―しなやかな体と心が健康をつくる
成瀬 悟策


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4062573350リラクセーション―緊張を自分で弛める法
成瀬 悟策


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成瀬先生の二冊。成瀬先生は有名である。私でも名前を知っているくらい。自律訓練法を日本で初めて紹介したのも彼だという。上の二冊はなかなかの好著である。『姿勢のふしぎ』では、動作療法によって心理的・精神的な問題もかなり治ってしまうことが紹介されている。これまでの心理療法があまりに「身体」を軽視していたのではないか、という鋭い指摘がなされている。人間はまず身体運動によってこの世に定位する、という当たり前の事実から人間存在を考えさせるものがある。最後には、こういう身体への気づきということが全く学校教育ではないがしろにされている、という指摘もあるがつくづくと同感する。ただ『姿勢のふしぎ』では実践的なものは少ない。

『リラクセーション』では、「自体軸」という概念がポイントとなる。これは高岡英夫が言っている「センター」であり、中心軸のことだ。人間がいかに自分でゆがみを作り出しているか、ということが述べられ、そのゆがみをとるための体操的なものが多く紹介されている。これはもう、日頃から気功、整体、ヨーガなどに関心を持っている者にとってはひじょうに共感しうるアプローチである。自分の身体を整える必要に気づくというのは、意識レベルの気づきにおいても一つの大きなポイントであろう。高岡英夫のゆる体操も、ヨーガのポーズも基本的に同じ発想に立つものだろう。

こういう、からだのゆがみを矯正するシステムとしては、世の中にヨーガほどすぐれたものはないと思うが、成瀬氏のヨーガ論を聞いてみたいところだった。ヨーガについては触れられていない。

気功とヨーガはそれぞれ特徴があり、一方が他方の代替にはならないだろう。ゆがみ直しについては気功よりもヨーガに一日の長があるような気がする。気功をやっても初心のうちはあまり気が感じられないことが多いが、そういうときはヨーガを少しやっていくと気が感じられるようになるだろう。感じ始めたら、あとはむしろ気功的な方法でその気を動かしていく技法のほうが早いのではないか。そんな感じで併用していくと効果的ではないかという気がする。

『リラクセーション』で述べられているのは、きわめてゆっくりと動かしていく手法で、ヨーガやゆる体操とはまた違いがある。こちらも研究してみたいと思う。

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