レイキ・シンボル公開の問題
レイキのシンボル・マントラ公開ということなら、こないだ書いたDVDの人だけでなくて、英語ではほかにも本も出るし、また日本語の本でも今年ついに公開本が出てしまったことは知っている人もいるだろう。私はその本自体は見ていないが、その著者のやっているヒーリングセンターのHPをのぞいたら、ここにもしっかり載ってしまっている。さらにその本の表紙にはしっかり三つのシンボルが印刷してあったりする。
こういうことはセミナーを受けるまで全く知らないほうが幸福かもしれないので、うっかり目にしたくない人は検索などしないようにしたほうがいいだろう。
アメリカの人は波動自体は悪くなさそうと書いたが、この日本語のシンボル公開本の著者はどうなのか? 正直言うと私にはちょっと疑問を感じる部分があった。
たしかにレイキの本質である宇宙エネルギーが伝わっている部分もあるので、それに初めて接した人は感激したりもするのだろうけど、それとは異質なものも混在しているような感覚があった。このヒーリングセンターではクンダリニー覚醒などを特に売りにしているらしいが・・どうも今ひとつ波動に粗いものが感じられ、微妙繊細な感覚に欠けているのだった。正直に言えば少し自我的なエネルギーが混入している気がした。その人自体はある程度の霊的体験を経ていることは間違いないが、極端にいえば、多少、教祖的なエネルギーになってしまっている部分があった。
彼らはアチューンメントは必要不可欠ではないという。エネルギーの高い人にヒーリングしてもらえば、同等のエネルギーは入ってくるのだという。そのこと自体は間違いとは言えないが・・ しかしアチューンメントの形式自体にエネルギーが封印されていることも事実であり、だからこそ型をふめば誰でも伝授ができるようになるはずなので、その型の伝承を全部否定してしまうのは、レイキそのものの自己否定になるだろう。
著者たちはレイキに興味を持つ人をターゲットに、レイキではなく自分たちのクンダリニー覚醒セミナーなどのほうへ誘導しようとしているのだろう、という意図を感じる。そのセンターでは、レイキは初心者からティーチャーコースまでを一日でやってしまう。しかしレイキよりもほかの霊的、超能力開発的なプログラムのほうがメインであるらしかった。
というわけでレイキ初心者はこの本やセンターに近づくのは危険であると思う。HPも見ないほうがいいので、検索しないことをすすめる。
考えてみれば、エネルギー伝授を受け継いでいくというのはきわめて危ういことである。密教でもそうだが、そのエネルギーのソースと系統が重要になるのは当然のことだろう。
最近では、インドのある聖者をソースとするエネルギー伝授によって、意識の構造を変え、高次意識が達せられるというシステムもある。これはヒーリングというより、完全に宗教だろう。宗教が悪いというのではない。問題はそのエネルギーがよいものかどうかという一点なのだ。いわゆる「悟り」ということを、意識の転換によって高次意識とのコンタクトが可能になることだと定義すれば、それがエネルギー的な伝授によって可能になるという可能性を私は否定しない。そのようなことは実際に過去の宗教や秘密結社などであり得たことである。もちろんそういう準備のできた人が、「本物」のエネルギーを受け取る機会を得たわけだろうが。
こういうのを受ける人は、それが「セミナー」という名で呼ばれていても、実質的には宗教的な行為であり、一つの宗教を自己の責任で選び取っているのだ、という自覚を持つべきではないかと思う。つまり、あるエネルギーを高次のものとして受け入れ、自分の中に入れることを許容する、という選択は、そう安易になされるべきではないということである。
そういう意味で、ヒーリングという核心を保ち、宗派的な方向に流れずにエネルギーの純粋さをある程度保ち続けている臼井レイキの伝統は、きわめて貴重なものであるといえる。伝統の形式そのままでなくても、それは敬意を持って扱われねばならない。