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もひとつ「ドイツ・レクイエム」のこと

今日のエントリーは趣味に走っております。
この前の「ドイツ・レクイエム」について、「フルトヴェングラーのCDも音は悪くないから聴け!」というようなメールが来た。この場を借りてご厚意に感謝しますが、どうもフルトヴェングラーのことを書くとメールが来ることが多いような気がする。

私はCDコレクションの鬼ではないので、いくら好きな曲だといってもその曲の演奏をことごとく集めてしまうようなことはない。世の中には、入手すべきCDのリストを作ってそれを集めることに気合いを入れている人もいれば、自分の気に入ったCDに当たったらそれ以上集めようとせずそればかり聴いている、というタイプがあるかもしれない。どうも前者は男性に多く、後者は女性に多いような気がする。ことごとくを「制覇」しようとか、少しでもよいものを求めてあくなく追求するといった行為はオス的な所業なのかもしれません。私は他の男と比較して、「男性性・女性性」の比率が違っているようで、女性性の比率が高くなっておるようです。それはともかく、

ちょっとネット検索してみたら、ドイツ・レクイエムCD紹介のページの多いこと。
その中で、私の聞いた5,6枚のCDの印象とほぼ一致していたのが、次のページである。
http://www5.airnet.ne.jp/kawahara/Brahms-dreq.htm

私が最初に聴いたクレンペラー盤については、

このディスクに関しては不満点は音質のみなんですが、これがそれなりに問題ではあって、とくに限界ギリギリの最強奏のところになるとどうしても音が割れるというか響きが濁ってくるところなど演奏自体の迫力からしていかにも惜しいです。

まったく同感。私としては、この最高潮のところで音が割れるというのは致命的!! というのは、私は音楽を一種の「エネルギーの流れ」として聴いているわけで、盛り上がったところで音が割れると、そこまで上り詰めていたエネルギーが解放されずに残ってしまうのである。これが私はどうにも耐えられないくらい不快なことなのだ。大きな宇宙へとエネルギーを一気に解き放つ瞬間こそ最高の至福なので、それが損なわれてしまうのはこの曲を聴く意味がないと言ってもいいくらい。私も、本当に惜しいと思う。

ヘレヴェッヘの演奏については

ヘレヴェッヘ盤の演奏は古楽器アンサンブルの原色的な音色の美感が十二分に発揮された演奏で、その響きの美しさが強い個性を形成していると思います。⑦のガーディナー盤の演奏においては古楽器オーケストラをガンガン鳴らすことによる荒々しい音彩の表出が演奏の迫力を強めていたのに対し、古楽器オーケストラの力感が巧妙に調整されているこちらのヘレヴェッヘ盤の演奏においては音響的な迫力というよりはむしろ、響きの透明感、細やかな色彩美という面において際立ったものがあり、声楽の広がりの充実感という点でもガーディナー盤を一歩凌いでいる感があります。敢えて不満点を挙げるなら、演奏の性格上総じて響きにある種の濃密性が弱く、「ブラームスを聴いている」という感じがそれほどしない点でしょうか。

きわめて妥当な批評で、異論ないです。私としてはそういう、伝統的な「ブラームスっぽさ」がないところが逆によい。ヘレヴェッヘの演奏は、必死に救済を求めて血へどを吐くような魂の叫び、ではないわけだ。言ってみれば、最初から最後まで至福の世界にいて、そこから歌い出しているドイツ・レクイエムなのである。そこがカール・リヒター的なものと対極にあるヘレヴェッヘの音楽性なので、それがいいという人はすごくいいし、いや、やっぱり血を吐くような魂の叫びでなければ、という人は他の演奏を聴けばいいだろう、ということ。このヘレヴェッヘの演奏は決して「鎮魂」ではないので、それとは別のもの。誤解を招く表現かもしれないが、「人間」というより、「宇宙の調和」を表現しているもの。(だからヘレヴェッヘの受難曲はつまらないかもしれない)
ただ、ソプラノ独唱はちょっと物足りなさが残るかもしれない。それは他にいいのがたくさんあるから。

ちなみに「ペンギンガイド」によれば、ガーディナーが鍵マークにロゼッタ。アバドのDVDが鍵マーク。あと三つ星はプレヴィンの2枚、クレンペラー、ノリントンのみ、モノラル参考記録の三つ星がケンペとカラヤン。こちらは「保守的なイギリス人の趣味」としての参考である。

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