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『海のアリア』と『バルバラ異界』

考えてみると連休中、マンガと囲碁の本しか読んでいないような気もする・・
ま、さすがに囲碁の本の話はここではおいといて。
マンガというのは右脳と左脳のバランスがなかなかほどよく、ちょうどいい感じがする。もちろん作品によりけりだが・・ 囲碁もかなりバランスとれてますね。将棋なんかはちょっと、左脳すぎるんだが。

しかし萩尾望都の『海のアリア』『バルバラ異界』、これは読みごたえあった。
いや、このオバサン、ただ者ではありません。

『海のアリア』は、私が好みの、「宇宙的郷愁」の雰囲気が漂った作品。
「宇宙の音楽」を奏でる楽器になる、という発想がすごい。
だいたい、SFというジャンルそれ自体に、宇宙的な郷愁という気分が含まれているように、私には思えるんだが(もちろん、筒井康隆は別ですが)。
ディープなロマン主義である。
宇宙を考えるということは実は魂を考えることである。
というのも、魂の故郷は地球ではなく宇宙なのではないか、ということ。
もちろんそんなことはこのマンガには書いてありませんよ(^_^;

そしてついに『バルバラ異界』を読んだ。
いやもう、これはタダモノではない傑作。
だんだん、時間とか現実の感覚があいまいになってくるような感じだが、そこがまた、今日的とも言える。
主人公は「夢先案内人」という職業で、他人の夢の中に入りこむことができる。その夢を、映像化してモニターに映し出すという脳内イメージスキャナーという装置が開発されている、という設定。
なかなかこれは、ありそうでいままでなかった設定である。

しかしすごく複雑な物語で、はじめよくわからず、第一巻は二回読んでやっと話がわかってきた。

主人公が入りこむ夢は、バルバラという世界。そこは未来世界でもあるらしい。そしてその世界では、「すべての生命は一つ」なのだという。つまり未来世ではすべての魂が一つだという自覚のある世界が実現するのだが、その過程にあるのがバルバラだ。そのバルバラは、眠り姫のように眠り続けている一人の少女の夢の中にある。しかし・・

もう複雑すぎて説明できないし、説明してもネタバレになるだけなのでやめておこう。この作品自体は、その「魂が一つになっている世界」を肯定も否定もしていない。霊的思想という立場では、そういう世界へと地球が進化していくということを肯定するわけだが、そういうわけではない。かといって否定もしない。

読後感が似たような作品があったなと記憶をたどると、村上春樹の『海辺のカフカ』だった。
あれもちょっと説明のしようがないが、あれは恐るべき傑作であり、世界文学という枠で考えても屈指のものだと私は思っている。私は予言するが、そのうちに村上春樹は必ずノーベル文学賞を取る。実際、海外ではそのくらい評価されているのだ。『ノルウェイの森』くらいしか読んでいない人は、単なる青春恋愛小説家だと甘く見ているかもしれないが、『ねじまき鳥クロニクル』と『海辺のカフカ』のディープさを知らないのである。そのくらいこの二作はすごかった。三島由紀夫や大江健三郎なんてメじゃない。近代日本最高の作品なのだ。

ともかく、それが『バルバラ異界』とどのような共通点があるかを言語化しようと試みると、こういう言葉になる。・・つまり、「魂の封印を解く」ということ。
封印されている世界、そこへ入り込んでいくという感覚、それがあるということではなかろうか。
何を封印しているかというと、それは記憶である。何を思い出すのかということでもある。そして、徐々に、夢と現実が混じり合ってくる。

そのような、現代の底層にあるテーマを、無意識的にもキャッチしているというのが、萩尾望都の非凡なる才能である。

あえて言語化を試みたものの、やっぱりゴタゴタしてしまった。
ともあれ、おもしろいマンガはないか、という人には強力にオススメいたします。
私はしばらく、萩尾望都にはまりそう・・ということで。

PS:モト先生、なぜか火星がかなり気になるご様子。ここはぜひ、ネイタルチャートを見てみたいもんだなあ、と思いました。


バルバラ異界 (1)バルバラ異界 (1)
萩尾 望都


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