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思想よもやま話

東方キリスト教の流れで、ロシアの神秘哲学もおもしろそうだなあ、などと思い始め、WEBでソロヴィヨフとプラトニズムについての論文を見つけて読んだ。

そういえば、私はソロヴィヨフ選集を持っていたのです! 実は読んでなかった(笑)のだけれど、いつか読むかもと思って古本屋で買っておいたもので、ついにその読むときが到来!

ロシアの思想というと何となく美的プラトン主義という印象があるのだけれど、どうなのだろうか。私は高校時代にロシア文学に読みふけり、よっぽど大学ではロシア語をやってロシア文学をやろうかと思ったのだけれど、食えなそうだったのでやめておいた。学部時代、隣の研究室が露文学科だった。思った通り就職状況はひどいようだった(笑) オーバードクター目白押し。聞いた話だが、その露文の院生のアルバイトとして有力だったのが、北海道の北方領土近くに出漁する漁船に乗り込むというもの。こういう漁船は、境界をちょっと超えてロシア支配地域に入って漁をし、見つかると全速力で逃げるのだそうで、万一拿捕された場合の通訳としてロシア語ができる人間を雇うという話であった。

ともあれ、ロシアの哲学、宗教思想についてももう少し勉強する予定である。ソロヴィヨフは「世界霊」というイデーを持ち出すのだが、これには特に重大な関心がある。

あと、とんでもない本を買ってしまった。『ギリシア教父の伝統における神化の教理』(原題 The Doctrine of Deification in the Greek Patristic Tradition)。すごいむずかしそうな専門書で値段も6000円以上した。

昨日も書いたが、東西霊性の融合について、ギリシア系キリスト教の神化思想は重大な意義を持っている。あとは、仏教をテオゾフィーとして捉え返すという作業をやることである。禅など、ほとんど「経験がすべて」という立場であるはずなのに、どういうわけか「語られる」ことが多い・・

あとは

新田義弘「知の自証性と世界の開現性――西田と井筒」思想. (968) [2004.12]

井筒俊彦の神秘哲学が本格的に論じられるのは初めてに近いだろう。ここでは西田哲学との近縁性も指摘され、現象学における「世界のはじまり」を問うという問題系の中心へと接続している。本質的なことがらへと鋭利に斬りこむ切れ味はなかなかのものである。しかし、ここでは、徹底的な世界の還元(「世界を止めること」)から、世界を取り戻すという過程が描かれているのだが、それは言うほど簡単に実現可能なことだろうか。新田自身も、なおそこにはアーラヤ識的な深層的イマージュ(これは井筒風表現だが)が残るという事態を予想している。世界を止めることの絶望的な不可能性に直面するのが実践者の道である。

まえがきで、きわめて簡潔に、

現象学の方法的思惟の上に起きる対象化的反省の挫折と、世界の地平的現出の拘束からの解放という、一連の臨界状況の出現を、経験の根抵における種々の差異化機能の解明を通して考察してきた。

と、現象学の立場を語るが、かなり現象学を勉強していないと、この文章の意味はまったくわからないだろう。この文章を理解できない人はこの論文は理解できない。非常に簡潔でシャープな表現は新田独特のものだが、とっつきが悪いことは事実である(笑) また、この文章がわかるほどの人であれば、そこで書かれていることと、井筒や西田の思想がきわめて近いポジションにあるらしいことは直観できると思う。

哲学を初心者に教えようとするとき、まず、世界は見えるままにそこに実在しているのではなく、世界がそのように現れているのは私たちの側にある構成作用の結果である、という認識論のいちばん基本のところが、どうしてもわからない人が多い。半分くらいの人はそれが最後までわからないままなのである。それがわからないと、「世界を止める」(これはカスタネダのコンセプトだが、現象学の還元と同様である)ことによって、世界が生成する原初を見ようとする・・ということがいかにスリリングな行為であるか、ということもわからないだろう。その世界を生成せしめている、謎の「X」を考えるということの意義もわからないであろう(新田義弘が言う「超越論的媒体性」とはこの「X」のことを指している)。どうも何とかしなければならないが、無理に哲学など勉強する必要はないし・・とか、それを言っちゃあおしまいであるが(笑) 万人に向いているものではないことはたしかである。世界の実在を問うということの意味がわかるというのも大変なことなのである。

もっとも、そういう最初の一歩がどうしてもわからなかったような人が、「科学的世界観」などという阿呆なことを平気で言ったりしているのであるから、少なくとも思想や世界観について語ろうという人は理解しておく義務はあろうと思っている。

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