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ヒーリングの思想

またまた平井センセの新しい論文がアップされていた。今後も雑誌に掲載され次第PDFがアップされるようなので、まったくそのサービス精神には恐れ入ります。最近この名前ばかり出てくるようだが、特にこの「種子の理論」というテーマは、ものが存在するということについての「イデア」と「世界霊魂」そして「スピリトゥス(つまり「気」)というコンセプトがすべて統合された形で現れてくる世界モデルなので、私の関心にドンピシャなのである。このような世界モデルの可能性が近代初期にあったということは大変面白いことなのである。

もっとも、いろいろ勉強するからといって、私の思想の骨格そのものがいまさら変わるというわけでもなく、たぶん、説明の方法とか過去の思想との連関とかがさらに明確になるという程度のことだろうと思う。

ただ神認識のみを追求する修道士の霊的哲学も大変好きなのだが、それだけでは、自然をどう説明するかとか、そういう方面が弱くなる。代替・相補医療はその多くが微細エネルギー技術を使うものであるし、そういうことを含みこむ知的世界観ということを考えているので、ルネサンス思想が重要な媒介となる。

微細エネルギー、気というものの根源を考えると、生命の根源という問題につながるし、宇宙の根源とは神的なものではないのか、という話まで行くことになる。スピリチュアル・ヒーリングというものは結局、宇宙の霊的根源という次元を考えなければ成り立たないものなのだ。また、宇宙に霊的な次元におけるヒエラルキアがあるということも言い表さないと、「善いエネルギー」と「悪いエネルギー」を区別する根拠がなくなってしまう。ヒーリングの問題を単に「ローカルな宇宙観とノンローカルな宇宙観」の問題と考えたり、自分と他者との結びつきという次元だけで考えていくのは、いずれも神的次元とヒーリングとの関連を取り逃がしている議論になってしまう。宇宙の根源が神的であると言い表さないヒーリング論は駄目ということである。

宇宙の性質はニュートン的な時空ではなく、量子論的なノンローカルな性質であり、従って遠隔的な作用があるのだ、というところで話が終わっているものが多いが、それでは駄目なのである。結局これは、天使と魔を区別できない議論である。神気と邪気を区別できないのだ。気・微細エネルギーの「質」という問題を考えないといけない。そのためには新プラトン主義的な霊的ヒエラルキアという宇宙モデルが不可欠となる。「ノンローカル論」は、ルネサンス的世界観のうち「万物照応」の要素だけは入れているが、宇宙の神的根源と霊的ヒエラルキアというテーマを入れようとしない。そのへんは、まだ近代人的発想から離陸できていないのかもしれないし、あまりにいかがわしそうで言えないのかもしれない。しかし、ヘルメス主義思想がかつてヨーロッパ思想では主流だった時代があったことを知るなら、その「いかがわしさ」の感覚はだいぶ減殺されるだろう。量子論と結びつけてノンローカル性だけを言っていれば何となく「科学的」っぽくて安全な感じがするのだろう。しかし結局は、宗教の領域に足を踏み入れなくてはヒーリングの本質を語れないのである。

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