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2007.09.02

新カテゴリー:名文抜粋集(星野道夫)

まったく突然であるが、新しいカテゴリーとして「名文抜粋集」をつくった。

その第一弾。

私たちが日々関わる身近な自然の大切さとともに、 なかなか見ることの出来ない、 きっと一生行くことが出来ない遠い自然の大切さを思うのだ。 そこにまだ残っているということだけで心を豊かにさせる、 私たちの想像力と関係がある意識の中の内なる自然である。 (11)
 ぼくが子どもの頃に、頭を悩ませていたのは、北海道のクマの存 在である。自分か日々、町の中で暮らしている同じ瞬間に北海道で クマが生きている。そいつは今、どこかの山を登りながら、大きな 倒木を乗り越えようとしているかもしれない……そんなことを考え 始めると、不思議で不思議でならないのである。そしてその不思議 さは、自分の存在が消えてしまうとさらに不思議なのだ。つまり、 クマと出合うのではなく、その風景を天空から見ている自分を考え ることで、人間のいない世界に流れる自然の気配を想像する不思議 さである。その頃は言葉にはできなかったが、それはすべてのもの に平等に同じ時が流れている不思議さだった。 (35)


4569665578Michio's Northern Dreams (3) 最後の楽園 PHP文庫 (ほ9-3)
星野 道夫
PHP研究所 2006-01


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