その他に読んだ本
山内清海『神の似像の霊性』(サンパウロ社)
これは聖書、アウグスティヌス、トマス・アクィナスにおける「神の似像」の思想を平明に解説したもの。わかりやすいが、さすがにトマスの所はちょっと難解。しかし結局、カトリックの正統的な立場を説明するものとなっている。つまり、人は生きている限り本当に神そのものにはならないということ。つまり「人は神と似ている」と言うが、「人は究極的に神と一致しうる」とまでは決して言わず、それを冒涜と考える。こういう西方キリスト教の思考限界もまたはっきりと示された。
薗田坦『クザーヌスと近世哲学』(創文社)
クザーヌスに近代哲学の萌芽を見ようとする論であるらしい。基本的に、ルネサンスの「魔術的思考」を離れて合理的な思考を生み出したとの視角で、およそ私の問題意識とは正反対であるといえる。つまり近代化肯定論者である。しかしクザーヌスにはそのように論じうるような側面があることは否定しない。とはいっても、私はあまり読む必要がない本であるようだ。