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中世哲学のむずかしさ

買い込みでは時間がなくて焦っていたので・・思わず中に入れてしまった『中世哲学を学ぶ人のために』だが、中身をよくみたらどうもつまらなかった。大森正樹先生の論も入っているけれど、中には、専門の論文を書き直したような焦点の狭いものもあり、かといって概説的な部分ではシャルトル学派やボナヴェントゥラにもほとんど触れないなど、日本の中世哲学研究の世界はこの程度のレベルなのよ、というのもまたはっきりと現れている著作というべきであろうか。専門家はどう評価するかしれないが、この本を読んで中世哲学のおもしろさに目覚め、研究を志すというような学生などほとんどいないだろうと言っていい。初心者向けに全体をわかりやすく概説するでもなく、研究案内みたいな情報が提供されるでもなく、中途半端な本になっている。これは、図書館で借りて二、三の論文をコピーすれば足りたものであった。正直言うと、やはり、現代の日本人がヨーロッパ中世思想をやることの難しさというのを実感させられた。つまり、大森先生など少数を除いて、この人たちは、自分自身の生をかけて神と向き合ったという内面的な経験を経ていない。そういうキリスト教、いや西洋的霊性の根本のところにぶつからないままで、勉強だけで研究者になったという人が中世哲学の概説など書けるはずがないのだ。

ジョノーの優れた概説書を読んだ直後だけに、レベルの格差が目立った。残念である。『哲学の歴史』中世の巻は、まず借りて様子をみる。

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