上橋菜穂子『獣の奏者』
というわけで、上橋菜穂子の『獣の奏者』二巻である。
これは、神話学・文学論的にいうと、「異類婚姻」の話などに見られる、「人間と動物界との交流と、理解の不可能性を、テーマにしたもの。前作の『狐笛のかなた』との関連性が、明らかである。
動物界というのは、異界ということでもある。
生命の不思議とか、その根源としての異界などを、どこまでも追求しようという欲求と、人間の世界に必ずからんでくる政治的なものとの葛藤――という、「守り人シリーズ」から一貫したテーマがここにも見られる。
今ここで、このことを詳しく書いている余裕はないが、掘り下げるといろいろと面白いので、一つ、紀要の研究ノートみたいな形で書いてもいいかな、と思いついた。できたら、上橋さんに送っちゃいますからね(単なるミーハー?) 私にとっては、ひさびさの文学論であるが・・
しかし、上橋さんの本は、あらかた読んでしまった・・ そろそろ、荻原規子にいこうと思う。



