本山博『スピリチュアリティの真実』
『スピリチュアル哲学入門』とはまた違った角度からの入門書となると、最近読んだもののなかでは、本山博『スピリチュアリティの真実』が特におすすめである。
私は、いわば芸術家・詩人というような「媒介者」の立場から語っているが、本山先生は、「霊覚者」としての位置から語っている。霊的覚醒のレベルにおいてはたぶん人類全体からしてもトップクラスだろう。さらに、霊的エネルギーの効果を科学的に検証する超心理学者としても有名である。アメリカの大学院大学の学長でもある。
「スピリチュアリティ」ということばがついているのは、やはり、多くの人に手にとってもらうための方便だろう。
本山先生は、世界の構成として、物質界-アストラル界-カラーナ界-プルシャ界-絶対、という階層を語っている。こちらはヒューストン・スミスの『忘れられた真理』とほぼ同じ。カラーナというのはインドのことばで、一般的には「コーザル」といわれるものだ。
本山先生が強調するのは、「まずカラーナまで目覚めなさい」ということだ。アストラルとカラーナ(コーザル)は全然次元が違うのである。アストラルだけではまだ迷うということである。カラーナまで行けば、直接神を知ることはできないけれども、ある程度、「ガラス越しに外を見るように」神があることを知ることが可能だ、という。
そこで、霊能者にも、アストラル次元の霊能者とカラーナに目覚めている霊能者があるという。カラーナの人はめったにいるものではない。・・と、ここで、以前の本山先生だったら、わりと、そういうアストラル次元の霊能者を低く見る発言もあったと思うのだが、この本では、アストラルの霊能者にも、人々に霊的世界があることを知らせるという役割はある、と肯定している。アストラルの霊能者であっても、純粋な気持ちでやっていればカラーナとつながるし、そこに相談に来ている人も高い次元に導くことができる。相談する人が成長してきたら、次の指導者につなげることもできるのだ。
このへん、本山先生も、80代にして丸くなったのかしら・・などと思ったりしたが(笑) サッカーにたとえれば、Jリーグの監督ばかりいても、サッカー界は成り立たないわけで、少年サッカーの指導者やら、中学高校のコーチなど多数の人々が必要であるようなものだろう。本山先生はカラーナの上のプルシャレベルの人だが、カラーナレベルの人もきわめて少ないし、そういう「S級ライセンス」の人だけで全体を盛り上げていくことはできない。全体が進歩していくためには、もっとローカルなレベルの指導者、はしごを二段か三段くらい上がったくらいの身近な指導者も多数必要になっているのだ。
この本は、微細エネルギー研究の話になると、突如として難しいモードに突入してしまう。これは本山先生の本にはありがちなので、そのへんは適当にとばしてもいいと思う。
この本に書かれているのはすべてきわめて信頼性の高い情報である。
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スピリチュアリティの真実 本山 博 PHP研究所 2008-04-24 |
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